2025/09/29 06:43

先日、新型 Ricoh GR4が最高にロックだと思う理由 という記事を書きました。
そこで触れたのはマーケティングに迎合せず、派手な進化を避けながらも思想を貫いたGR4の姿勢です。
流行を追わず本質だけを磨き続けるカメラは、まさにロックだと。
では、その次の6年後に登場するであろう Ricoh GR5 はどうなるのでしょうか。
技術の進化が常に予測不能であることを踏まえつつ、ここでは「写真の概念の変容」とGRの未来像について考えてみます。



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技術進化の予測不能な事例
1. 電話 → スマートフォン
当初の電話は「遠隔で声を伝える」だけの装置。
そこにメール機能、カメラ、インターネットが追加され、結果的に電話は通話機能付きカメラコンピュータに逆転。
誰も「カメラ性能がスマホの目玉PRになる」とは想像していませんでした。
2. フィルム → デジタルカメラ
1990年代、フィルムメーカーや写真家の多くは「デジタルはオモチャ」と見ていた。
しかし数年でプロ現場も一気にデジタルへ。
富士フイルムやコダックの命運も分かれ、既存の巨人が没落し新しい巨人(デジタルメーカー)が台頭しました。
3. 音楽の所有 → ストリーミング
レコード → カセット → CD → MDと「物理メディア」が当然だった。
ところがiTunesが「データの所有」を一般化し、さらにSpotifyやApple Musicが「所有からアクセス」へ流れを変えた。
今では「CDを買う」という行為が、逆に特別な文化的選択に。
4. 映像:レンタルビデオ → Netflix
90年代の家庭映像体験といえばTSUTAYAでレンタル。
その後DVD宅配、ストリーミング、サブスクと進化。
いまやアルゴリズムがおすすめしてくれる視聴体験が当たり前になり、文化そのものが変容しました。
5. コンピュータ → インターネット → SNS
かつてコンピュータは「計算機」
インターネットが普及すると「情報取得ツール」に、さらにSNSで「人と人をつなぐ装置」へ変貌しました。
今ではニュースもショッピングも友人関係もSNS中心に集約されています。
6. AIの現在地
つい数年前までAIは「SFか研究室の話」でした。
2022年末以降、ChatGPTの登場で誰もが日常的にAIを使う時代に突入。
法律や教育、芸術まで揺さぶられ「AIは計算ツール」という従来の理解を大きく超えている。

写真という概念の変容
こうした予測不能な技術の進化は、写真の世界にも押し寄せてきました。
代表的なのが Canon主催の「写真新世紀」
もともと写真(静止画)のコンペだったが、やがて動画作品も受け入れ、実際に写真的な動画作品が受賞。
当時は「写真コンペで動画が選ばれるのはおかしい」という反発もありましたが、結果的には 写真の概念がテクノロジーや環境によって変わる ことを示しました。
・2021年グランプリ 賀来 庭辰「THE LAKE」
応募作品形態:シングルチャンネル・ビデオ25分52秒
選:椹木 野衣
応募作品形態:シングルチャンネル・ビデオ25分52秒
選:椹木 野衣
・2020年グランプリ 樋口 誠也「some things do not flow in the water」
応募作品形態:映像作品 21分17秒
選:野村 浩
応募作品形態:映像作品 21分17秒
選:野村 浩
さらに今は現在進行形で AI が写真領域に入り込んでいます。
カメラメーカー純正ソフトにAIが組み込まれ、ノイズ除去や画質補正だけでなく、生成AIによる写真的な画像さえも生まれつつある。
それもまた写真と呼び得るのか。
議論は今も続いています。
議論は今も続いています。
つまり、写真は 技術が変われば定義も変わる

Ricoh GR5 が担うもの
こうした歴史を踏まえれば、6年後に登場するであろう Ricoh GR5 もまた、単なるスペックアップの道を選ぶことはないでしょう。
GR4が「ロック」であったように、GR5もまた「思想」を背負ったカメラとして登場するはずです。
その思想はきっと「写真とは何か?」という問いを私たちに投げかけ続ける。
そして流行やマーケティングに流されず、本質的な撮影体験を更新し続けることでしょう。
次回(2/2)では、その未来像を少し妄想を交えて描いてみたいと思います。

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